イクメンよりもイケメン?-東山動物園のシャバーニに思ったこと-

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最近、私は子ども医療、子育てコストについてリサーチしているのですが、小さいお子さんを持つお母さんのお話を聞くことがあります。ちょっと前ですが、あるお母さんが「イクメンよりもイケメン」と言っていて、えっ?と思ったことがあります。その心は、

 

「イケメンはただ癒してくれるけど、

イクメンはやってあげた感を出すのでただウザい」

 

ということでした。そこでふと思ったことがありました。今回は、それを書いてみようと思います。

いま名古屋市にある東山動物園では、ニシローランドゴリラのシャバーニが話題になっています。東山動物園は、名古屋市の千種区という所にあって、地下鉄東山線一本で行けます。園内は植物園もあり、木々もたくさんあって、とても環境の良い所です。では、なんで話題になっているかというと、ゴリラのシャバーニ、ものすごくイケメンなのです。つい最近には写真集も出版され、ネット上ではあまりにイケメン過ぎて「勝てる気がしない」という声が出ているぐらいです。彼を訪れる人も増える一方のようです。

たしかにイケメン、というか男らしい、そこにマッチョ感がありますので、これは並みじゃないなと、自分もそう思ってしまいます。ところが、です、これだけに留まらないのです。地元の中日新聞(2015年8月16日,朝刊.)に出ていたのですが、シャバーニ、イケメンだけでなくイクメンでもあるというのです。ゴリラの世界では、イケメンだけでは通用しないようで、さりげなく育児をこなすイクメン、これがないとメスの支持は得られないそうです。これはマジでかなわない、そう心底から思ったことでした。

「稀少な財には高い価値、高い評価が付く」、これ経済学の原則ですが、そういうことなのでしょうか。イケメンは間違いなく、稀少なものです。それだから人気があり、いろんないいことがあるのだと思います。しかしイクメンはどうなのでしょうか。お話を聞いたお母さんによると、「ウザいイクメンはそれ自体がコスト」と言っておられました。さりげなく、必要とされる育児を自然にこなし、時にはお母さんをサポートする、それをイクメンと言うのであれば、イケメンでイクメンというのは稀少というよりも、もはや奇跡に近いのではないでしょうか。

コストは極力、節約しなければなりません。近年、イケメンはあらゆる方面でものすごく盛り上がっています。他方、イクメンは盛り上げようとしているのですが、ブームには程遠い状況です。そういうことなのかな、イクメンでもイケメンでもない私は、東山動物園のシャバーニを見て思ったことでした。

 

※e-column目次ページの写真の出所は、東山動物園最新ニュース「ニシローランドゴリラのシャバーニのお誕生会を開催します(2015年10月15日)」(http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/topics/index.php?g_no=ZOO00405)です。

 

著者:澤野孝一朗

関連キーワード:財の稀少性、コスト

関連講義名:ミクロ経済学