
このe-columnでは、社会や経済で起きた事件や問題について、教員がそこで考えたことを書く、そんなエッセイが掲載されています。2018年9月、関西国際空港(関空)は台風21号の上陸に伴う強風と高潮で、新千歳空港(新千歳)は最大震度7が観測された北海道胆振東部地震で、大きな被害を受け、空港の閉鎖を余儀なくされました。人の移動のみならず、物流機能も停止し、大きな混乱を招きました。いま日本政府は、鋭意Visit Japanキャンペーンを展開していて、多くの外国人観光客が来日中でもありました。
もちろん今回の問題は災害の発生ということが主因ですが、ここまで問題が大きくなった背景には、ここ数年、急速に展開する航空サービスの形の変化と、空港の経営形態の変化が深く関係しています。今回、空港機能がダウンし、そこから発生した問題は多岐に渡りますが、日本政府が積極的に誘致していることもありますので、本稿では観光目的で来日する訪日外国人の視点、そこから今回の問題を<上>と<下>にわけて考えることにします。