「効率性」によるパフォーマンスの評価

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中部電力のような電力会社では、労働者を雇い、発電所で重油や天然ガスを燃やして蒸気を発生させ、それにより発電機を回し、電気を生産しています。経済学では、電気のような生産されるものを産出物といい、労働、発電所、燃料など産出物の生産のために使用するものを投入物といいます。ある量の投入物を用いたとき、最大限生産可能な産出物の量を考えることができます。投入物の量と最大限生産可能な産出物の量の関係を示したものは生産関数と呼ばれ、投入物と産出物をそれぞれ1つずつとすれば、図に示した曲線のように描けます。たとえば、OXの投入物を用いれば、XYの産出物を生産できることを示しています。

しかし、企業によっては、生産関数上の生産量よりも小さい生産量しか生産していない場合があります。図の点Aは、OXの投入物を用いたときXAの産出物を生産している企業を表しています。この企業は、OXの投入量を用いれば、本来であればXYだけ生産することができるはずですが、XAしか生産していません。これは投入物の利用に無駄があることを示しているのです。その無駄の程度を測る尺度が「効率性」です。点Aで表わされる企業の「効率性」はXAXYとして計測されます。この値は、企業のパフォーマンスを評価するための指標として使うことができます。「効率性」の計測の仕方については、計量経済学とオペレーションズ・リサーチの分野で研究が行われています。

ところで「効率性」は、パフォーマンスを評価する指標ですので、使えるのは何も企業だけとは限りません。投入物や産出物とみなすことができるものがあれば「効率性」の概念を使うことができます。よくある例としては、プロスポーツに適用したものです。たとえば、日本のプロ野球の選手に応用しようとすれば、打席数などを投入物のようなものと考え、安打数、盗塁数などを産出物のようなものとすれば、打者の「効率性」を計測することができます。そして、比較することで選手のパフォーマンスを評価できます。プロ野球だけではなく、サッカーではJリーグや海外のリーグ、アメリカのプロバスケットボールリーグの選手やチームにも適用できますし、そのような学術論文もあります。

企業の話に戻りますと、「効率性」の値は、市場の競争の程度と関係があることが知られています。電力産業においては、自由化の進展とともに「効率性」の値が高まっていることが実証されています。また、水道事業や公立病院においては、補助金を多く受けている事業者ほど「効率性」の値は低くなっていることが明らかにされています。これらのことは、競争が弱い環境下では「効率性」の値は小さくなることを示しています。無駄を発生させてもつぶれないためです。このような結果をどのように社会にいかしたらよいのか、みなさんも考えてみてください。

 

著者:中山徳良

関連キーワード:非効率性、パフォーマンス、競争

関連講義名:産業組織論