【知の最前線(2)】 災害からの復活と成長

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名古屋市立大学経済学部は知の最前線を切り開く研究者が授業を担当します。
このコンテンツは経済学部/経済学研究科パンフレットに掲載された『知の最前線』を再構成して掲載しています。
第2回目は外谷英樹先生です。

Q. 先生はどんなことを研究なさっていますか。
A.近年は「自然災害と経済」の研究に取り組んでいます。具体的には「自然災害が国全体の経済や社会にどのような影響を与えるのか」というテーマや,また逆に「経済や社会のあり方が,自然災害による人的・物的被害をどの程度軽減させることができるか」というテーマを研究しています。

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Q.先生がその研究テーマを選んだきかっけは何ですか?
A.今から15年前に名古屋市立大学で行われた研究会で、共同研究をしている米国ミシガン州立大学のSkidmore教授が「自然災害と貯蓄率の関係」の論文を発表し、そこに参加していた私が、研究会後に議論したことから、「自然災害と経済」の研究が始まりました。その研究報告は、当時、あまり自然災害が経済にどのような影響を与えるのかについて、データを用いて統計的に検証した研究が少なかったので大変興味深いものだったことを覚えています。

Q.ご研究を通じて先生が発見なさったことを教えて頂けますか?
A.研究を通じて発見したことは、自然災害の中でも、台風などある程度予測・予報が可能な災害は、長期の経済発展を促進させる効果があるという事です。一方、地震など予測が困難な災害は経済発展にあまり効果はありませんでした。また自然災害による被害を軽減させる経済的要因として、一人あたり所得や国民の教育水準、貿易依存度などが、被害を軽減させることを発見しました。

Q.研究を進めるなかでいろいろ大変なこともあるのでしょうか?
A.研究が世界各国のデータを用いているため、データ収集・入力が大変でした。今から15年前の研究当初は、書物にあるデータ資料をパソコンに手で入力していました。しかしながら、最近はインターネットの普及・充実とともに、容易にネットを使って様々なデータをダウンロードできるようになり、大部便利となりました。

Q.ご研究の分野は私たちの生活とどう関わっているのでしょうか?
A.日本は、世界のなかでも台風や地震など自然災害が非常に多い国として知られています。長い歴史の中で数多くの自然災害が発生し、それが人々の文化や風土形成に影響を及ぼし、更に経済に影響を与えるというのが私たちの行っている研究の考え方です。実際、皆さんも、明日台風が来るとした場合、明日の予定が全てキャンセルされたり、自宅で待機しなければならないなど、自然災害は、皆さんの行動に少なからず影響を与えています。経済学は、「人々の行動を分析する学問」であるので、自然災害はまさに経済学と密接な関係にあると考えています。

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外谷英樹
TOYA Hideki

名古屋市立大学大学院
経済学研究科教授
修士(経済学)