【知の最前線(1)】 少子化進行のメカニズム

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名古屋市立大学経済学部は知の最前線を切り開く研究者が授業を担当します。
このコンテンツは経済学部/経済学研究科パンフレットに掲載された『知の最前線』を再構成して掲載しています。
第1回目は木村匡子先生です。

Q.先生はどんなことを研究なさっていますか。
A.出産や子育てのような人々の出生・教育行動と経済環境の相互関係について研究しています。具体的には、「なぜ少子化が進行してきたのか」、「出生率が国によって大きく異なるのはなぜか」、「人々の出生・教育行動と経済成長はどのように影響し合っているのか」といった問題に経済学的なアプローチで取り組んでいます。

Q.先生がその研究テーマを選んだきかっけは何ですか?
A.学部4年生のときにゼミナールで執筆した論文がきっかけです。当時、日本では出生率が大きく低下し少子化が社会問題となっていた一方で、地球規模での人口爆発に対する懸念も高まっていました。なぜこのような一見矛盾した状況が生じているのだろうか、という素朴な疑問から内生的人口成長理論についてのゼミ論を執筆し現在に至ります。

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Q.ご研究を通じて先生が発見なさったことを教えて頂けますか?
A.生産活動の家計部門から市場部門へのシフト、男性に遅れて増加した女性の市場労働への参加、出生率の趨勢的な低下と一時的な上昇(ベビー・ブーム)という19世紀から20世紀にかけて多くの先進国で共通して観察された現象は、経済成長過程の一部として説明できるということを性差を組み込んだ経済成長モデルを用いて示しました。

Q.研究を進めるなかでいろいろ大変なこともあるのでしょうか?
A.理論モデルが複雑な場合には、コンピュータを用いた数値計算を行うことがあります。プログラムに1箇所でも間違いがあれば、正しい結果を得ることはできませんし、場合によってはそもそも動かなかったりします。また、効率的に研究を進めるためには計算が早くなる工夫も必要です。間違いがなく計算速度も速いプログラムを書くのは神経を使う難しい作業です。

Q.ご研究の分野は私たちの生活とどう関わっているのでしょうか?
A.現在、少子化対策に関する議論が活発に行われています。少子化対策を行うことが望ましいかどうかは別として、有効な少子化対策を行うためには、出生率の決定メカニズムを正しく理解する必要があります。また、少子化対策が社会・経済全体にどのような影響を与えるのかを予測する必要もあります。出生率の決定に関する研究はこうした問題を考える一助となりえます。

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木村匡子
KIMURA, Masako

名古屋市立大学大学院
経済学研究科 准教授
博士(経済学)